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佐藤 治夫
JNC TN8400 99-062, 16 Pages, 1999/10
圧縮ベントナイト中でのイオン電荷の影響を定量的に評価するため、Ni, Am, Sm and SeOの実効拡散係数(De)を拡散化学種の電荷をパラメータとして取得した。Ni,Smに対しては、乾燥密度1.8 Mgm,pH56の模擬間隙水条件にて透過拡散法により測定した。SeOに対しては、乾燥密度l.8 Mgm,pH11の模擬間隙水条件にて測定した。Amに対しては、陽イオン排除の効果を確認する目的で、乾燥密度0.8,1.4,1.8 Mgm,pH2の間隙水条件で測定した。測定では、Na型ベントナイト(クニゲルV1)を用いた。Amの測定においては、低pH領域で行うため、予め層間イオンのNaをHと置換したH型クニゲルV1を用いた。得られたDeは、SmNiAm SeOの順で小さくなった。得られたDeをこれまでに報告されているデータと比較した結果、Deは、CsSmHTONi陰イオン(I, Cl, CO, SeO TcO, NpOCO, UO(CO))の順で小さくなり、陽イオンHTO陰イオンの傾向を示した。AmのDeのみは陰イオンと同程度であった。NiのDeがHTOより小さかった原因は、Niの自由水中の拡散係数(Do)がHTOのそれの約1/3と遅いことによると考えられる。また、AmのDeが陰イオンと同程度であった原因は、AmのDoもHTOの約1/3であったこと、及び陽イオン排除によるベントナイト表面からの静電的反発によると考えられる。そこで、各イオンのDoで規格化して求めた形状因子(FF)で比較した結果、SmCsNiHTOAm陰イオンの順で小さくなり、Cs,Ni,Smに対しては表面拡散、Amに対しては陽イオン排除、SeOを含む陰イオンに対しては陰イオン排除の可能性が示された。FFの計算結果から、乾燥密度1.8 Mgmに対する表面拡散の程度は、HTOを基準としてSmに対しては5倍程度、Csに対しては3倍程度、Niに対しては1.3倍程度であった。また、同条件における陰イオン排除の程度は、TcO4で1/7程度、NpOCOで1/6程度、SeOで1/5程度と見積もられた。